トピックス
中小支援策に副作用も 「隠れ」不良債権5兆円 公的負担、4,000億円に
中小支援策に副作用も 「隠れ」不良債権5兆円 公的負担、4,000億円に
政府が金融危機を受けた始めた中小企業向け資金繰り支援策の副作用が目立ってきた。
返済条件の変更に応じる努力義務を金融機関に課した結果、5兆円規模の不良債権が
生じた懸念がある。
国による保証制度は公的資金での肩代わり返済が4,000億弱に達した。
支援の長期化で当初の危機対応の安全網から「延命措置」に変わりつつある。
2008年秋のリーマン・ショック以降の中小企業向け支援策には主に2つある。
借りているお金の返済条件を緩め企業の負担を軽くする中小企業金融円滑化法と、
新たにお金を借りやすくする緊急保証制度だ。
09年12月に施行した円滑化法は昨年9月末までの累計申請件数は113万件で、
このうち100万件で金融機関が金利減免などに応じた。対象の融資元本は累計
27兆円に達する。
最近は「3分の2は再び申請する企業」という。一度の融資条件変更では経営が改善せず
繰り返し条件緩和を求める構図だ。ある地銀幹部は「融資条件をまた変更できると
予想し経営努力が緩む企業もある」と話す。
金融庁は同法施行に併せ、不良債権処理の指針を変え、借り手に経営改善計画
があれば融資条件を緩めても不良債権としなくてよい措置を拡充した。
不良債権の増加を警戒して金融機関が条件変更に二の足を踏まないようにするためだ。
日銀が昨年まとめた試算によると、この措置により貸し出し全体に占める
不良債権の比率は大手銀行で0.6ポイント、地域銀行で1.6ポイントそれぞれ
下がった。
実額では4兆~5兆円に相当する。これが不良債権の予備軍とすれば、
借り手企業が倒産した場合に金融機関が受ける打撃はより大きくなる。
借り手企業が倒産した場合に信用保証協会が返済を肩代わりする緊急保証制度は
金融機関がリスクをとらず貸せるため利用が活発だ。08年10月の開始から
10年12月までに保証額は合計25兆円、保証協会が肩代わりした代位弁済は
3,624億円に急増。
1998~00年に実施した同様の保証制度の代位弁済は足元で2.6兆円と融資総額
29兆円の1割弱に達した。今回も最終的に融資総額の1割近くに膨らむとの見方もある。公的資金による弁済は国民負担となる。
企業倒産件数が1月まで18ヵ月連続で前年比減少するなど、中小向け資金繰り
支援策は一定の役割を果たしている。東京中小企業家同友会の政策部長である
ソフトウエア開発会社ヘキサードの板橋社長は「新規投資など資金需要が生じる
可能性があり、保証制度は対象業種を絞らず継続してほしい」と話す。
ただ「支援策は当初の目的を果たしており、続ければ改善の見込みのない企業も
延命させることになりかねない」との声も根強い。
産業界にも慎重論はあり、計測制御機器で世界シェアの高いメトロールの
松橋社長は「企業は自ら工夫すれば良い」と支援に頼らない姿勢を示した。
2011.2.10(木) 日本経済新聞より引用





